………。[良く響く声が、青年の意思を砦に伝える。一矢一石もない。だが、警告はあった。双方の動きが止まる。引き絞られた弓の如き緊張の中、男もまた歩み出た。砦の上、やや張り出した台の上に身を晒す。やって来た彼らから、その姿が良く見えるであろう場所に。その傍らには、大地の緑と空の青、血の赤に塗り分けられた地の上で狼が吠える旗が平原から吹く風に翻っている。]