― 羊飼いの少女と ―
……別に謝る必要もないし
誤魔化すことで自分を護るのもまた人間だろう
寧ろ、抱え込んでいない、と
気づかない方がずっと怖い
[縋ってもいいのだ。何せ君は若い
若くなくとも、人というのは
助け合いながら生きているのだから
1人で立つ必要は、全くないのだ
ほら、ディーターやら、君の周りには
君を気に掛ける人がいること
それに――気づいてくれればいいんだと
己はそう、思っている
震える声に、駄目ですねと下手くそに笑う少女の
頭を、教会にやってくる子供にするように
ぽんぽん、と撫でて紡ぐ]