[ 運悪く、
反撃の爪は彼の装身具の何処かに当たったらしい。>>353 ]
運のいい奴だね、君ってやつは
[ くつくつと笑う
ロー・シェンの貌にはどこにも
誰かに向けた心配げな顔だの、
嘘を吐くときの笑顔だのはない。
ただ、金色の瞳をきらりと光らせて
"獲物"を直ぐに殺してしまわぬよう
細心の注意を払うだけのこと――。 ]
[ 相手がどれだけの膂力を持っていたとしても
嘗て狼に似た生物の身体に棲んでいた寄生生物が
人の身体で擬似的に作り出す"獣"の力には叶わない。 ]
[ 今や、砂の色に似た金の髪も、
髪と同じ色をした瞳も
人間とはまるで違うモノとなって彼と対峙する。 ]
[ 彼にはわかってしまっただろうか
この考古学者こそが彼が憎むべき"人狼""なのだと。 ]
[ けれど、それはもうどうでもいいことだ。 ]