[教会より掛けられし嫌疑。
教会にとっては相容れぬ敵ともいえる吸血鬼との密通。
野茨公と世に名を響かせる者であると知らなかったとはいえ
会っていたという事実はかわらない。
真実を知るまでは冤罪と思い無実を明らかにするために
誰にも何も言えぬまま教会から逃れたが
今は――、罪を犯したのだと自覚している。
弟のように思う存在にだけは言葉を残したかったが
只でさえ親しくあったから余計な迷惑を掛けたくもなく
神子という名にも曇りをつけることを惧れ断念したのだ。
だからこそ、未練が残る。
もうあわせる顔などない事を理解しながらも
アデルの安否が、気がかりだった。
そのアデルが今も無実を信じてくれている>>301とは知らず
目的をもち野茨城を目指しているとは思いもしない。]