[ターリス、と名を呼ぶチャールズの背に身を寄せ、現れた人物を窺う。相手の顔には見覚えがあった。父が「あれの腕に並ぶものはそうそういない」と評していた男。護身用の短剣を握る手が、汗でじわりと滑った。] ───…。[声を出せば、何かが起きてしまう。そんな思いで、ふたりの遣り取りを見守る。チャールズの緊張が伝わって、鼓動の音がうるさく感じた。]