[その日、ベリアンは草庵を離れて、モーリスへと向かった。テオドールに”霊薬”を届けるべく。浮き島と魔王城とにテレポーターがあれば、二者間の移動が手っ取り早いことは理解している。だが、あれは実に精密な構築を必要とする論理魔法だ。少しでも挿入要因が狂えば、うっかり壁の中なんて悲惨な事態にも起こりかねない。あれを扱えるのは──ともあれ、風で移動してしまう浮き島に設置するのはまず無理であった。]