― シュビト郊外・天幕 ――――…、[小箱の蓋を閉じれば、柔らかな音色もぱたり。止まった。後に残るのは、ためらいがちな沈黙と]…。貴方が、此処に残ると伺いました。国を護る為、此の地で尽力してくださるのだと。[そっと、フィオンの手を取る。女性なのに剣を握るその掌は、皮が硬く逞しいもの。誰かを護る人の手だ。巫女姫は落雁の入った包みを、餞別代わりにと彼女の手のひらに置いて――自らの両手で外から重ねるように包み込んだ]