― ベルサリス学館・回想 ―
強くなろうと……?
[アレクシスからその質問を受けた時>>190恐らく自分はきょとんとした顔をしただろう。
何しろ強くなろうとした自覚は自分ではまるでなかったからだ。
普通の靴職人の家に生まれて、子供の頃から体力や腕力が比較的秀でていた為か、そこらの子供を束ねる大将的存在になって、そのかわり細かい作業や物を作るのは苦手だったから、自分に合う職業は何かと考えた時に軍に入るという選択は自然に出てきたものだった。無論、軍に入れば組織の役に立つようにと努力はしてきたが、それも意識的にしたわけではなかったからだ]
どうしてって言われてもなぁ……。
思ったってんじゃなくて、オレの性に合ってたくらいしか……
[そのような経緯だから理由を問われても特には出てこなくて、歯切れの悪い返事になってしまった。
ただアレクシスが聞きたかったのはこんな答えではないのだろうと。
続く言葉でそれを感じた]