― 回想・数年前 ―
[あれは確かお使いの帰りのことだった。
暗くなる中家路を急いでいると、一人の男性とすれ違った。
村を出る前にはいなかった人。
確か行き倒れているところを村長に拾われ住み始めるようになった、]
兵士、……さん?
[名前が出てこなかったのでそう呼んでから、問う]
なんで、ここにいるの?
[言葉こそ不躾なものだったが、その言葉を放つクララの表情は、
兵士という職に就いていた、と聞いている目の前の人物へ、
“怖い人”という印象を抱いていたせいで、相当こわばっていた]
― 回想・了 ―