[本当なら、10年前に死んでいた身だ。
原因不明の感染病。どうして家族が死んで、俺が生き延びたんだろう。
ずっと思っていた。
俺じゃなくて、弟が生き延びていれば…
そんな想いを振り切るように、勉学に励んだ。
故郷のような悲劇を繰り返したくない…そんなの建前で、ただ家族で一人生き残った罪悪感から来る贖罪だったんだ。
どこかで解放されることを望んでいた部分がある。
ワクチンを開発したいのも本当。
でも、一人頑張り続けることに疲れてもいた。
だから、俺の希望である『人狼』、『ガルー』に殺されるなら、希望の糧になるなら、
それはそれで良いだろう。
もちろん、『人狼』のお手伝いができたらいいな、とも思う。
俺、盾にくらいならなるだろうし。
信用だってしてくれなくてもいいよ。
…なんて独善的な人間なんだろう。
自分の醜さに内心笑ってしまう。
そんな気持ちを込めて、金色の瞳を見返せば、彼はどう反応するだろうか。]