[休息場所である洞窟に落ち着き、運んでもらった水を飲んでひとつ、息を吐く。
水の冷たさは思考を鎮め、鎮まった思考は、先に聞こえた声への分析へと向いた]
(界が閉ざされている可能性が高いとなると、あの扉についても、前向きに考えなきゃならない、かな。
代償……に、なりそうなもの、なくはないけれど)
[思考巡らせながら、視線を落とすのは丁寧に布の巻かれたままの左の手。
強い魔力と、聖らなる資質を帯びた血は、多くの魔の好むもの。
……それ故に、色々と厄介な事情を抱えるに至ったわけだが、それはそれとして]