[素手で共用の物や他者に触れられない。
肌に触れなければ問題ないあたりで白手袋さえはめれば良かった。
階級からして気安く触れようとする者が居ないのも幸いしたか
リヒャルトが潔癖症である事を知るのも多くない、――と、
当人はそう思っているが実際気付いている者がどれほどかは把握していない。]
えー、と。
もしかして僕に用、とか。
[考えてみれば往診に消毒液と缶が手荷物というのも妙だ。
包帯やら手当に必要な道具を持つものだろうと思う。
アレクシスに控えめに言葉を続ける。
彼を避けるようにして状態の報告をさぼっていたのは
無論、彼が嫌いであるとかそういったことではなく
ようは自分に問題があることを自覚して逃げていただけ。**]