― 少し後の話 ―
[ セルウィンを引き止めた後、
彼が落ち着いたようなら手を離しただろうし、
言葉を交わすことを求められれば
幾らか加えて話をしたかもしれないが、
適当なところで話を切り上げた学者はその場を去る。 ]
[ 何処へともなく歩いていたとき、
見慣れぬその姿があったのは>>356
果たして、偶然かそうでなかったのか。 ]
……君もこの船の船員なのかな
[ 声をかけたら、彼女が気付くかどうか
確かめるようにふい、と足を止める。 ]
[ 部屋の中だったとしたら、
ついでに、入ってきた扉を閉めてしまうけれど。 ]
[ 返事を待つ僅かな間、がりりと首筋を掻く。
その爪はセルウィンに向けた時のまま>>310尖っていた。 ]