人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[個室に存在していた者も他に居たかもしれない。
白い毛玉のような男のイドは、気づかれ捕えられようとすれば
51kmくらいのスピードで逃げただろう。
脱兎の如く。耳は無いが。

ぐるりと巡回して最後の一室、カシムの部屋に辿り着く。
自分の手首に噛み付き、血を得ていた彼は
その後、どうしていただろう?

ベッドに転がりがたがたと震えていただろうか?
蹲って泣いていただろうか?

解らずも、その光景を見つめ思い出すのは
先程、美酒を馳走して貰った後輩の事。
己の上へ馬乗りになった妖艶なその姿は
一番最初、カシムと同じように涙し
殻に閉じ篭る子供のようだったのだ。]

(358) 2013/10/03(Thu) 01:57:04

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