[いかにも悪い人間といった風の男に対して子供たちの反応はどうだっただろうか。
まともに付き合うほど、男は子供が好きではない。]
おら、散った散った。
早くしねぇと夜になるぞ。
[冬にもなれば、太陽が空にある時間は短い。
空を見れば月の明かりが目立ち始める頃合か。
ぼやけた輪郭は真円に近く、少し前に聞いた言葉を思い出す。]
こわーい人狼に食われちまっても知らなェからなァ……。
なぁんてな、ひゃーはっはっはっはっ!
[子供たちとすれ違う瞬間に、アルビンから聞いたモーリッツの与太話を呟いてみるが、言った傍から男が笑い出す。
耄碌してるわけでもないのにこんなことを言うなんて、男には向いてないと自嘲による哄笑だ]