― 灼熱の闘技場 周辺 ―ん…。[どれくらいうろうろと連れまわされていたのか。薄らとあけた目に飛び込んだのは、真っ黒な色だった。ぱち、ぱちと瞬いて、視線を動かすと今度は長い毛が見え、さらに視線を上げれば、ぴんと立った耳が見え、ようやくそれが何かを思い出す。]……馬?[理由は解らないが馬に乗っているのかと、動く馬の背の上でバランスを崩さないように身を起して、その首の向こうに見えた人影に固まった。]