人狼物語−薔薇の下国

238 奪還試験


闇の精霊 ルートヴィヒ

― 地下迷宮 ―

[石を積んで出来た壁と、くすんだ色ばかりが埋め尽くす世界。
喧騒は遠くに過ぎ去り、音もない。

歪めていた瞳を開き、庇うように翳していた片腕を払うと、
真っ直ぐに伸びる通路から枝別れする先が見える。]

 ……これも余興の一つと言うことでしょうか。

[恐らく己のみに絞られた事実上の退場であろうが、
しっかりと愛妻を巻き込む男。
別離を許さぬと告げた通りに侍らせるまま、
まるで共に在ることが当然とばかりに溜息ひとつ。

気怠けに前髪を掻き揚げてから、眼鏡のブリッジを押し上げ]

 ――――イングリッド、転移酔いはしていませんか?

[彼女の額にも指先差し伸べ、するりと労わるように撫ぜた。*]

(356) 2014/08/24(Sun) 13:41:00

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