[再び辺りは静かになり、外よりの吹雪の音だけが響いていた。惨劇に染まった部屋に佇む獣。雪よりも白く見る者を見惚れさせる毛並みは深紅の色へと姿を変えていた。] あ あ 、 美 し い 。 僕 は 、 な ん て 美 し い の だ ろ う。[そして壁に血文字で書き示す挑発するかのような一言。ショーの始まりだその横に刻まれた、牧羊犬の倍はある前脚の痕。人は牙を持たない。獣は文字を持たない。人でも獣でもない、何か。その存在を指し示すには充分だったはずだ。]