[ポケットから、ざら、と錠剤を取り出して、何度か失敗しそうになりながら包装を取り、口に放り込む。
水なしは慣れているとはいえ、この体調ではやはり辛くて、
喉を通るときに、えずいて吐き戻しそうになるけれど、そこは気力で飲み込んだ。
飲んで直ぐに回復するなどというわけではないが、時間を置けば、大丈夫。
――近々大丈夫ではなくなる可能性は、考えないことにはしていた。
メディカルチェックはこのところ、一、二度すっぽかしていたから、状態は正直わからない。
波があるのはいつものこと、数値がボーダーを割らないように、もう少し調子が良い時期に受けようと。
それでも、とりあえず薬を飲んで安心したからか、少し休めたからか、壁に寄りかかりながら立ち上がることは出来た。]