[手渡された包みに、口元が緩んだ。皇后お手製の焼き菓子は、時折人生に潤いをもたらしてくれる天恵である。] あとでお姫様にお礼状を書かねばなりませんね。[包みを懐にしまってから、砦の鉄扉を抜けて広場の奥へと皇帝を案内する。] ごゆっくり。[護衛の兵に後を任せ、自分は部屋には入らずに見送った。重要なことなら後で聞くし、なにより積もる話もあるだろうと思ったのだ。]