[昔から動物が好きで、生物学の論文などは図書館やネットで拾ってはよく読んだ。
特にオクタヴィア・ハイデンツウェル教授の論文は読んでて面白かった。
生物学を学びたいと、一瞬、ちらりとも思わなかったと言えば嘘だった。
まさかその事が親父にバレてるとは思っておらず、言われた時はドキリとした。]
――いいんだよ。これはこれで楽しいし。
[しかしこの頃には既に、『我慢』から『諦観』に変わっていた。
金がなく、学費が払えないのだから“仕方がない”。
そういう思考になっていた。
諦めてしまえるのだから、それほど本気ではなかったのだろう。
そう思っていた。
それなのに親父はしつこく訊ねてきた。
何でそれほどしつこいのかわからないが、それは非常に鬱陶しくて。
意趣返しのように、或いは逃げだすように。
当時募集していたシルバー・メリー号の乗員に、修理屋として応募した。]