[隣を歩く二人の会話を静かに聴く。
そして改めてその二人の経歴を思い返す。
どちらも初対面ではなかった。
まず、男の方は、騎士時代に何度か接点があった。
あくまで接点があった程度で面識とはいえなかったが、
その筋では教会への忠誠を高く評価されていた。
また、闘いの腕も中々ものであり、機があればいつか相手をしてみたい相手と印象に残っていた。
続いて少女だが本人由来の性ではないと理解していたが、
彼女が存在すること若干、負の感情を抱いていた。
理由は唯一つ、彼女の出自、力だった。
自らも微弱ながら聖なる力を持っていただけに
蔑むまれる際の比較対象が彼女だったのだ。
蔑まれることに対しては慣れていたが、彼女が話題外に上がる度に
自身にまで話が及ぶ事に煩わしさを感じていたのだった。]