美味しい、お菓子があるんです。是非貴方にもお裾分けしたくて。[そう言って、荷物から取り出したのは古ぼけた木箱だった。両手に収まるほどの小さなもの。見た目は簡素な作りだが――――、蓋を開けると内側には鮮やかな色彩の模様が描かれている。この国では見かけない、独特な筆使いの精巧な造り。蓋を開けば、ぽん。ぽん、と聞き慣れぬであろう音色が軽やかな音を綴った]