人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[イドが何故それに気づいたのかは理解出来た。
香をつけぬ男の唯一の匂いが、仄かな硝煙の香なのだ。
身を清めれば落ちるけれど、狩りに出ればまた付着する香。
恐らくはそれに反応したのだろう、
イドはカレルのベッド下へ潜り込んだ。

包みか何かに覆われているか、或いは。
解らずも、イドの目を通して見えた銃把の刻印、
某社で直ぐに製造中止になった自動拳銃。
そもそも、王国の刻印入りの拳銃は、リボルバーしか存在しない。]

 ――…、……どこかで…、

[この銃を見た気がするし、自分のものだった気もする。
というか、こうして忘れている事柄が、他にもあったような気さえした。

思案する男の思考を余所に、カレルの部屋の男のイドは
クレステッドのイドとかち合うか。
先程と同じように、「ピィ」とか「ギィ」とか声を発し
男のイドはカレルの部屋を後にした。]

(354) 2013/10/03(Thu) 01:38:43

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