パン屋 オットー

ーー現在：メイン・サロンにてーー
[褒めるべきときはしっかり褒めろというのが、我が一族の教訓である。
褒めるときに褒めずにいると、知らないところで知識技術作品が断絶していく。
褒めても残らないときは残らないが、一回の褒めが残ることに繋がる可能性があるのだから、と兄姉たちに熱弁された。
彼は素直な子供・・なのでしっかり言いつけを守っている。
なので褒める。というある種の暴力行為を働いている訳だが、当然のことながら当事者は気付かない。
何故なら本人を目の前に褒めていると気付いていないからである。]


　　……？　どうかした？


[だから顔を赤らめ、そらされた視線の意味は理解できない。
自ら名乗ることのない配信者とリスナーとはこういうものだろう。知らないが。
とはいえ、“適正に褒めろ”ということも教訓としてあるため、過度に褒めることもしない。ついでにそこまでボキャブラリーがあるわけでもなかった。]