[不法侵入にも同じだ。
年長者として当り前だがこれまで、
鍵が掛からないとはいえ同胞の部屋へ
勝手に侵入したり、イドで覗いたりなんて事は
したことは無かった。
呪術の研究に熱心な王子のこと、
どうせ今回の件だって、あの歪んだ王子の所為だと踏んではいたが。
その先、王子が何を企んでいるのかは
少しばかり興味を惹かれる部分でもあった。
さして面白い情報は得られない。
己の部屋で脱ぎ捨てた白絹が赤黒い絹に変化した
ガウンも、もう無かった。
けれど。
ピィ、とかギィ、とか忌まわしげな声でイドが反応を兆す。
その部屋の主は、カレルだ。
部屋の主は眠っていただろうか。]