[ 王子様が小さき頃の祖父のこと。
少しでも慕われていたらしきことを聞けば
胸がどこか暖かくなるの。
彼が目の前の私との縁を、
何かを、思い抱いて
柔らかな表情を見せているならば。
こちらもまた、互いの感情は知らずとも
同じように頬を綻ばせましょう。 ]
ああ……そうなのですね。
国のことを、民のことを。
見聞を広げて頂いて、本当に
……ええと、なんと申しましょうか。
そのご厚情に深謝いたします。
[ 僅かな苦笑には気づかなかったけれど。
それでも、やはり一市民としては嬉しく、
そして王国軍の一員としては、
この国を治める王家の心遣いに胸を打たれ
誇らしい気分にさえ、なるのだから。 ]