居場所、か。 うん、そうだな、そういうのあれば、いいな。[家のような場所。故郷のような場所。身体に、心に、記憶に。そういうものがあれば、例え、一時崩れても、人は持ち直す。支えとはそういうものだ。医師として、少年が記憶を取り戻すべきか否かは、男も判断できなかった。心が選んだ選択肢なら、今のままがいいのでは、と。だが、心はいつか取り戻すことを選ぶかもしれない。何かのきっかけで目覚めるかもしれない。その時は、支えは必要だ。]