― 回想 ―
[ そのロー・シェンが仲間と共に、取り残された男の艦を救うため、上官命令に逆らってまで援護に向かってくれたのだと、助け出された後知らされて、けれど、激化していった戦況の中、直接に礼を告げることも出来ぬまま……オルヴァルは帝国に降伏した
]
[ 共に戦った兵のうち優秀な者達が、そのまま帝国軍に組み入れられたと聞いた時に男が感じたのは安堵の方が強かった。
あれ程頑強に、最後まで抵抗した国の兵を受け入れる帝国の懐深さに、感謝すらした程だ ]
結局まともに礼も言えませんでした…
[ 15年前、引き上げの艦の中で悔いを滲ませた男に、ゲオルグは、ロー・シェンが刻んだ言葉を、或いは教えてくれたろうか ]