― 図書館の前 ―
…ん?
あ、ヤコブか。
[普段だったら絵を描くことに没頭していて、声をかけられても反応はかなり遅くなっただろうが。
今朝は珍しく、即座に気付くことができた。
相手が同じ年の幼馴染だったことも大きく関係している。]
うん、ヨアヒムだよー。おはよー。
[木炭を持ったまま、手を派手に振る。
以前初めましてと言われたときは、ちょっと驚いた。
必死で”僕はヨアヒムだよ!”と訂正した記憶はばっちり残っている。
しかしヤコブには、雪かきを手伝っていて埋まったときに掘り起こしてもらったり、何かとフォローしてもらっている。普段は自分の方が余程迷惑をかけている自覚があるため、この出来事は全く気にしていない。]