― 厨房 ―
[ヨアヒム、ヤコブ……どうしてあそこまで意固地になって、自分が犯人で、人狼だと、言い張るのか。
全く潔白の人間が、互いを守るためとはいえ、わざわざ自分が人殺しだと名乗りを上げるのだろうか。
――処刑、されてしまうかもしれないのに。]
はー……。
[もう誰も死ななければいい、と思う気持ちに偽りはないが。
もし“あの二人”に危害が加えられそうになれば、自分はきっと、その相手を殺す事に躊躇いなど持たないだろう。
自分も、命の選択をしている。それが嫌で仕方がなかった。]
[あの二人……そういえば、話はできたのだろうか?
胸元の石が未だ優しい温もりを放っている事から、二人の仲は悪いようになっていない事は解るけれど……]
[湯を沸かしながら、天井を仰いだ**]