― 南島入り後 ―
[南北の壁である火山を抜けて、もうシュビトはすぐそこ、と云う場所にまで差し掛かる時。
シュビトの方面から、早馬が駆けて来た。男がシュビトへ向けて先行偵察に放った者だ]
…聴かせろ、集会はどうだった。
[早馬の者が男に耳打ちする、それに合わせて男の顔は二度上下に揺れる]
…暴徒共の熱に浮かされた民衆共の熱気は高潮。
暴徒の盟主が傍らには得体の知れない男の存在…か…。
いいだろう、私が先行する事にしよう。
お前達は、彼らが謳いあげた檄の言葉をより明細に調べろ。
特に件の、得体の知れない謎の男についてだ。
[命じ、早馬を走らせ、朱馬車の方へと再び白馬を寄り添わせた]