― その後の双子 ―
[中学時代は高校受験の勉強のためか、矢のように過ぎ去って行った。
同級生の永未の姿を見ると、胸に残った小さな棘のような痛みを覚えるようなことはあったが、試練の前と変わらぬ接し方を心掛けていた。
もし、井家と仲睦まじくしている姿を見かけることがあるとしたら、ちょっとだけ寂しげな表情を浮かべはするが、そっと見守るようにするだろう。
担任の先生が変わったことにもちろん気づきはしたが、自分はあの明るくて気さくで、とてつもなく優しい会澤先生のことを覚えている。
その記憶を大事に胸の奥に抱えたまま、卒業を迎えた。
その日、“真理”は卒業した。]