[辺りを確かめるように……ベルティルデにはそれが「目的のデータを探す仕草」に見えただろう。
目線を動かしていると、司書机の方にいた彼女から声を掛けられる。]
わあ……! これは、綺麗ですね…!
[彼女の声を同時に室内いっぱいに展開されたホログラフは、宇宙の星々を壁面と天井に映し出す。
先ほどメイン・ラウンジで見た濁った暗黒>>186とは大違いの美しい光景に、思わず感嘆の声をこぼした。
この航宙船に乗ってから、ずっと部屋にいるか食事を摂るか。
メイン・サロンの方へ赴いても外の景色に注目したことはなかった。]
(この騒動が終わったら、見てみよう…)
[「今は見られないですけど、凄く綺麗なんですよ。」と展望ラウンジからの景色を勧められ
「はい、是非」と彼女の方を振り返り、答える。
その後、彼女に目的の資料……寄生生物『ガルー』とその宿主『人狼』に関する論文や"ネオ・カナン"の惑星史のありそうな場所まで案内を受け、
棚に並べられた情報端末や書物の題目とにらめっこを始めた。*]