[剣を拾い上げるか逡巡し、置いていくことにした。十字架の意匠に触れる代償を考えたのもあるし、女が取りに戻ってくるだろうというのもある。けれど、今はそれよりももっと重要なことがある。飛ぶように駆ける、その僅かな距離ももどかしく、片割れへ腕を伸ばし、後ろ首へと回す。]