[――その知らせを受け取ったのは、次の夜だった]
『斥候部隊が、近くへ?』
『ああ。先行して索敵中だそうだ。――あそこらへん、精鋭揃いって噂だろ。その代わり、新兵が配属された時の生還率は嫌ンなるほど低いって話だがなあ。
俺たちみてェな非正規軍の傭兵じゃ縁もない部隊だが、収穫によっちゃ、こっちにもお鉢が回るかもな』
[同僚の言葉に、胸がざわめくのを感じる。
その部隊の噂は、配属されてごく僅かのイェンにも届いていた。
前線に名を轟かせている部隊長、ソマリ・イェーガー。
――その名前を族長に報告した時、僅かに声が緊張したことを覚えている]