「敵艦から信号!」
[見張り台から声が降る。
それを待つまでもなく、甲板上の───いや、恐らくは麾下殆どの艦の者らの目にも見えただろう。皇帝の意思告げるその信号が>>324]
…、やれやれ。
[それを眺めた提督本人といえば、少し眉を下げて顎を撫でた。
既に砲撃の音はない。代わって、敵艦隊が前方のアードラーを押し包むように…いや、押し留めるようにして展開した>>324
その中から分かたれた、どこか華麗な印象を与える敵戦艦が真っ直ぐにこちらへと向かってくる。翻る皇帝旗。ではあれが、アレクトール・スライ・モルトガットIVの座乗艦であろう。]