少女 リーザ

［ばっと立ち上がり宿泊帳にするつもりだった
　小さな羊皮紙の束とペン、インクを持って戻ってくる。
　それらをテーブルに置いて羊皮紙の一枚をとり、
　それに何かを書いて、シモンが投票箱としたそれに
　叩きつけるようにして入れた。
　もちろん、書いたのも入れたのも左手だ。］


　　　　私はさ、シモンさん。
　　　　これは悪魔の仕業だと思ってるよ。
　　　　この村のみんなを混乱させて、笑ってるんだ。


［シモンの横を通り過ぎる時、それだけを言い残して、
　リーザは宿を後にした。

　少し低くて、はっきりとした声だった。］*