― データ資料館 ―[「こちらになります」と促され>>326て資料館のドアをくぐる。館内は彼女の言う通り、照明がいくつか切れているようでうす暗く、入口から死角となった場所にある受付用のカウンターには職員もいない。おそらくはこの緊急事態で脱出したのだろう。点在する、まだ無事な照明の光に照らされたその場所はしん……と無人由来の、夜の闇にも似た静かな沈黙を湛えていた。あるいは、資料館という施設だ、利用者のために防音対策がされていたのかもしれないが。]