―王の間―[目にしたのはギィが心臓を取り出しそうとしていたところで。>>256例え自分たちに様々な無体を強いてきた彼だが、それでも命を奪う事には抵抗を覚え、微かに目を伏せる。けれど、制止の言葉が口をつくことはなかった。心臓が自分の元に回ってくれば>>#2、掌を牙で裂き、その血をそこに落としただろう。願いは、と聞かれ、戸惑う。傍らの彼の幸せを何よりも願うが、この心臓に願うべきものではない気がする。それはもっと――……静かに目を閉じる。]