[機関室が大切な場所だというのは、知ることの少ない自分にも、分かっていた。
船に潜入して破壊するにはどこを抑えれば良いのかという、そういう理由で。
だから、機関室で暴れたりはしゃいだりすることは、決してなかったはずだ。
とはいえ機械に関する知識は、今この年になっても、ウィルスに感染した機械に風邪薬ぶん撒くレベルであるからして、子供の時分は推して知るべし。
ただ、居並ぶ様々な機器は、用途は分からずとも、その精密さや力強さが好奇心をそそるもので、
狐の尻尾頭が物陰から、たまにひょこっと顔を出して、あれはなに、これはなに、と興味深そうにしていたかもしれない。]