薬師 クレステッド

―王の間へ行く道すがら―

[目尻に涙を浮かべた微笑みに、彼から向けられる優しく真摯な想いと覚悟を識る。>>308
それでも、胸を刺す痛みが収まる事はなく。
自分も同じように涙を浮かべながら彼に微笑みかける。
彼よりずっとぎこちなかったかもしれない。

繰り返された言葉と共に手を差し出されれば>>309、それをしっかり繋いで。
今だけは、ここに居てくれとばかりに力を込める。

先ほど以上にゆっくりと足を進めながら
王の間に永遠につかなければ、この時が永遠に続けばいいと思う。

けれど、そんな望みがかなう訳もなく、王の間に到着する。
カレルから手を離されなければそのまま手を繋いだままにしておいだだろう。]