[今でも毎月、墓に花を供えるほど。深く深く、2人を愛してた。あいつらは俺の命よりも大事なものだった。それを奪われた憎悪は愛の重さと比例した。でもあいつ、復讐に囚われた俺を見たら離婚だ、とか言いそうな奴だから。囚われないように意識を逸らし、見ない振りをして押し込めて。その甲斐あってか、歳を重ねると共に少しずつ、気にはならないようになった。でも態を潜めていても、胸に渦巻く黒い感情は確かに、まだ燻っていて―――。]