[>>84 ディーン・ヴァンデラーら率いる独立解放軍が宵闇に紛れて、砦へと近付いた。
物陰に隠れながらの移動だったので、マーティンの巨躯は大層不利であった。
ゆえに、マーティンは最後尾に付き、一連の出来事を眺めていた。
充分に近付いたとき、ディーンはとある一点を指し示した。
塀の一番高い部分、一人の兵が緊張した面持ちで立っている。見張りの兵だろう。
目視できる距離とはいえど、まだまだ遠い。
あれ程遠いところ、しかも夜に、弓矢なんて当たるのだろうか。
マーティンは疑問に感じていた。
しかし、そう思った次の瞬間。塀から見張りの兵は消えていた。
すぐ前を見やると、弓矢を構えた少女の背中が見えた。]