―艦内廊下―
[参謀殿は何処へ行けばいいだろうか。
男は手にしている缶を、片手で弄びながら考える。
治療とか、そういう訳ではないので司令塔へ向かうのは何となく憚られた。]
……やはり自室ですかねぇ。
[何となく目的地を定めた男は、参謀殿の自室の方へ足を向ける。
歩きながら缶を弄ぶ。中身は自家製のハンドクリーム。
自分の予想が正しければ、参謀のあの手袋の下はアカギレで腫れているのではないだろうか。
医者の癖に潔癖症であった父親の手が、洗いすぎによるアカギレを起こしていたのを思い出した。]
潔癖症は大変ですねぇ……。
[そんなことを呟きながら廊下を進む。]