人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


蒼眼の天使 カレル


  早く、…………帰らないと、

[ 譫言のように吐き出された声は切ない。
 引き上げられるまま蒼眼は只々空を仰ぎ見た。
 手を飛ばして涙も悲しみも苦しみも
 叫びもない蒼穹を焦がれるようにして
 腕を伸ばし、還ろうとした。

 汚泥が翼の付け根で泡立つ。
 その音は鼓膜を鳴らした口淫の音に似て
 天使の不快感を煽る。
 いや、それだけではなかった。

 知らぬ感覚に戸惑いが生じる。
 振り切りたいのにこびり付く感覚に
 肩を上下させた。 ]

(345) 2018/03/20(Tue) 11:32:24

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