[ 情報局が戦死者名簿まで管理するのは、戦死という形を取って戦線を離脱するもの、あるいは敵方に走るものがいないかどうかを監視するためだ。同じように《死》という手段で名を変えたエルンスト・ヒンメルのことを思い出すも、ここでそれを問うつもりはなかった。 ]御苦労さまです。[ 部下とのやりとりを終えて退室するウーツ中尉の背中に、それだけ声を掛けた。紙の上に刻まれた同胞たちの死は、あまりに多く、実感する事さえ難しいほどだ……。 ]