[武器を抜く暇すら与えずに、獣は執拗に此方を狙う。>>316
爪が、牙が迫る。
一瞬でも動きを止めたなら瞬く間に引き倒され、引き裂かれるだろう。
激しく入れ替わる視界の中で、緑の体躯の頭部で、
その少女の名残を残す様に、金糸が踊る。
一度、二度、三度、
その爪を、牙を、紙一重で躱しながら、武器を抜く隙を見計らう。
獣は今一度、唸り声と咆哮を上げる。>>317
その体から、“何か”が放たれようとする。
それと同時に、腰に下げた銃を抜き放とうと、して、
肩が不意に、ずきりと強く痛んだ。
――いざというときに、命取りに――…>>45]