―― 第四エリア・花園 ――
[後方へと飛び退る。
視界の中、遠ざかるその躰が、蔦に覆われてゆく。
細い両腕は獣の前足となり、全身が変じてゆくその姿は、
――緑の狼。
地に足が着くや、全力で駆けだすのは、第四エリアの入口に向かう方角だ。
いくら自分が普通の人間より身体能力が高いとはいえ、一対一で人狼には抗えないことは分かっている。
ハーランもそうだった、到底適う力ではなかった。
背に人を庇っている局面ならいざ知らず、
このままただ食われ、殺されるわけにはいかないと、出口に向けてひた走る、が]
――…!!
[背後から、空を引き裂く咆哮が迫る。
咄嗟に地を蹴り横へと飛べば、その足跡を追うように、
緑の獣が眼前に現れた。]