[助けて欲しかったなんて、思った事はない。
今だって、村人の一人である貴方に掬いを求めようとは思わない。そもそもこの村に来たのは、間違えだった。いや、或いは死に場所を求めに此処へ来たのか。あの人を失った同じ騒ぎのなかで死ぬ為に。疑い、罵り合い、殺し合う。無様な村人達…こんな村は滅んでしまえば良い…、殺されてたまるものか。それなら、殺される前に自分で死んでやる。騒ぎを聞きつけて人が集まれば疑われるのだろう、シモンが疑ったみたいに。シモンが、本当に自分の事を疑ってるとは思っていない。嘘だ、だけども友人として過して来た日々が頭を過ぎる。最後まで助けは求めなかった。無理やり笑ってみせた。もうニ度と会う事はない。]さようなら。